まちにかぶさる空
10月なかば、約2年ぶりの東京、表参道周辺、大通りから小道に入り住宅と店舗が混在したまちを歩く。目を惹くのは多くの建物によく手入れされた植物が絡んでいること。まちをかたちづくる街路と建物、それを彩る植物たち。クルマや家具、売られている服や雑貨、看板、サイン、グラフィック、そして街を歩く人びと。建築は人知を感じさせて複雑でよく考えられていて、あるいはシンプルで、また饒舌な建築もあり、どれも違っていて楽しく見飽きない。
とはいえ、まちは賑やかでどこか切ない。みんなどこかへ行ってしまうから…そしてまちの上に人智のおよばぬ大きな空が覆いかぶさっているから。
僕は生業として毎日毎日建物の設計をして過ごしているけれど、大きな空が覆いかぶさっていることをほとんど意識しない…それはどこか悲しみがあるから。